地方と都市で異なる「空き家の事情」

目次

同じ「空き家問題」でも中身は違う?地方と都市の根本的な違い

空き家問題は、全国的な課題として注目されていますが、実は地方と都市で事情が大きく異なることをご存知でしょうか?
見た目には同じ“空き家”でも、その背景や活用の難しさは場所によって大きく変わってきます。

たとえば地方では、高齢化や人口流出により、住む人がいなくなったまま何年も放置された家が多く見られます。一方で都市部の空き家は、相続問題や投資失敗によって、築浅物件でも放置されるケースが増えています。

【地方】住み手がいない、維持できない…空き家が増える根本要因

総務省の調査では、地方の空き家率は全国平均より高く、20%を超える地域も珍しくありません。
たとえば秋田県(20.3%)、高知県(20.1%)などが全国でも特に高い水準となっています。
その主な要因は以下のとおりです。

  • 人口減少と高齢化:相続されても住む人がいない
  • 利便性の低さ:交通の便が悪く、売っても貸してもニーズが少ない
  • 維持管理コスト:解体や修繕にも費用がかかり、放置が続く

一方で、最近では地方移住やテレワークの広がりを背景に、古民家リノベーションや空き家を活用したコミュニティビジネスも増加傾向に。
ただし再生には行政・住民・事業者の連携が不可欠で、地域全体での取り組みが求められています。

【都市部】価値はあるのに動かない?都市型空き家のジレンマ

東京や大阪などの都市部でも、実は空き家が増え続けています。
「人口は多いのになぜ?」と疑問に思う方も多いかもしれませんが、都市部ならではの空き家問題には、以下のような要因が潜んでいます。

  • 相続放棄・所有者不明:都心部の人気エリアでも放置物件が出現
  • 建築制限や取り壊し費用:再建築不可など法的な制約
  • 投資用物件の空室化:民泊やサブリースの失敗による空き部屋

都市部の場合、土地の資産価値が高い一方で、権利関係が複雑になりやすく、利活用がスムーズに進まないケースも多く見られます。
空き家はあるけれど、貸せない・売れない…これが都市の空き家問題の特徴とも言えるでしょう。
そのため、2024年からは相続登記が義務化され、都市部でも空き家の“所有者不明化”を防ぐ仕組みが整えられつつあります。

まとめ:空き家活用は「地域性」に目を向けることがカギ

地方と都市では、空き家問題の“顔”がまったく異なります。
そのため、一律の対策ではなく、地域ごとの特性や課題に応じたアプローチが必要です。

地方では「人を呼び込む仕組みづくり」都市では「制度的な障壁の解消や相続対策」など、方向性も対策手法も異なってきます。
空き家を“リスク”から“資産”に変えるためには、行政だけでなく、地域の企業や住民一人ひとりの関わりが欠かせません。

これからの空き家対策は、「どこにある空き家か?」という視点が重要になるでしょう。
地域性を理解したうえでの賢い活用が、空き家問題をチャンスに変える第一歩だと考えます。

弊社NOBORDERS株式会社も、2024年に鳥取県にある築100年超の空き家の再生を開始いたしました。地域との連携やコミュニケーションはまだまだですが、まずは我々自身が鳥取県の関係人口となることで、外から覗いた鳥取の魅力を関西をはじめとした他府県の方々に「発信」することを行なっております。

都市と地方、それぞれに課題はありますが同じ「空き家」という建物に時代に合った新たな価値を吹き込み、レトロフィットな建物として再生させていくことで、空き家が「富動産」となっていくのではないでしょうか。

🔗 参考リンク

目次