鉄筋コンクリートや鉄骨造が主流だった都市建築に、今、“木造高層建築”という新たな潮流が生まれています。
その中心にあるのが、「CLT(Cross Laminated Timber)」という革新的な木材パネルです。
今回は、注目される「CLT建築」の特徴やメリット・課題、そして今後の可能性について詳しく解説します。
そもそも「CLT」とは?
CLT(クロス・ラミネイティッド・ティンバー)とは、板状の木材を繊維方向が交差するように重ね、接着したパネルのこと。
これにより、高い強度と寸法安定性を持ち、鉄やコンクリートに匹敵する構造部材として活用できます。
日本では2016年に建築基準法が改正され、CLTを主要構造材として使用できるようになり、以降、公共建築や商業施設などでの導入が進み始めました。
なぜいま「木造高層建築」が注目されているのか?
背景には、以下のような時代的要請があります。
- カーボンニュートラルの推進:木材はCO₂を固定する性質があり、脱炭素社会に貢献。
- 森林資源の有効活用:国産材の需要創出と林業振興にもつながる。
- 都市景観の変化:木の温もりを感じる“やさしい建築”が都市にも求められている。
中でもCLTは、高層ビルにも耐えうる構造強度を持ち、木造建築の可能性を大きく広げています。
実際にどんな建物が建てられている?
日本・世界で話題となっているCLT建築の例をご紹介します。
■ 日本国内の事例
- PORT PLUS(東京)
清水建設が開発した純木造11階建て高層ビル。CLTとLVLを併用し、都市型木造の可能性を実証。 - 道の駅や小中学校の校舎
地域産材の活用と併せて、災害時の避難所としても機能。
■ 海外の事例
- Mjøstårnet(ノルウェー)
世界最高の木造ビル(18階建て85.4m)。CLTを主要構造に採用。 - Ascent(アメリカ・ウィスコンシン)
CLTを使用した25階建て超高層住宅として世界的に注目。
CLT建築のメリットと課題
【メリット】
- 環境負荷が低い(CO₂固定・製造時のエネルギー消費が少ない)
- 施工期間が短縮できる(パネル化によるプレハブ施工)
- 断熱性・調湿性に優れ、快適な室内環境
- 軽量で地震に強い構造
【課題】
- 材料コストが高い(現時点では鉄骨より高価な場合も)
- 防火規制への対応(CLTの耐火性能に関する基準は段階的に整備中)
- 施工技術者が少ない(実績・ノウハウが蓄積中)
まとめ:CLT建築は“未来の都市”のスタンダードになるか
CLTによる木造高層建築は、環境・景観・構造の面で多くの可能性を秘めています。
まだ課題はあるものの、今後はサステナブルな都市開発の核として、民間・公共の垣根を越えて採用が進むと予想されます。

